徒然雲峰上記 | |||||
ほうふ日報さんで掲載してもらった「語学赤点!海外視点?」というコラムの連載の続きを見たいという方のためにこちらに書こうと思っています。 語学赤点!海外視点? 元・青年海外協力隊/現・人財育成講師 権代 祥一 (2020年6月23日(火)ほうふ日報掲載) 007 20世紀最後の夜は缶詰 今、コロナで世界中の方が窮屈に過ごされていらっしゃると思います。私がフィリピンに赴任した2000年12月、マニラで爆弾テロがあり、ドミトリ(隊員連絡所・通称ドミ)で窮屈な缶詰になっていました。フィリピンでは一番にぎやかなお祭り騒ぎになるクリスマスの月を狙った犯行なのか、ドミのすぐ近くを含む5箇所で同時爆弾テロがありました。 で、本当に運の悪いことに、クリスマス休暇でサーフィンに行った隊員の一人が行方不明になり、3日後に遺体で発見されました。葬儀をドミでやることになり、フィリピン全土から隊員が集まった矢先でした。 マニラ市内は戒厳令が敷かれて、約50人の隊員がドミで缶詰状態になってしまいました。緊急食糧という缶詰が倉庫に備蓄してあったので朝昼晩と缶詰を食べることになりました。最初はたくさんあった缶詰もだんだん減ってきてダンボール箱が数えられるようになると、缶詰を多く確保しておこうとする者が現れます。何とも浅ましい話ですが、それが人間の性質なのかもしれません。 フィリピンに来て、目まぐるしい事件が連続して、社会が混乱している状態はなかなか経験できるものではありません。とんでもない国に来てしまったと思いました。それにしても、遭難した隊員のご家族や集まってきた隊員達が爆弾テロの巻き添えを食らわず無事だったのは不幸中の幸いでした。 そして、缶詰になったまま正月を迎えることになりました。フィリピンでは華僑の影響を受けた習慣で、大晦日には爆竹を鳴らします。この爆竹がパンパンという可愛いものではなく、ドカン!という爆弾のような爆竹なんです。毎年これで亡くなる人がいるそうですがやめられないようです。聞いた話だと、持っていた爆竹が破裂、手の平が裂けて指が長くなったとか、マッチで火を付ける際に口に咥えていた爆竹が破裂して口が裂けたとか、笑えない話が多いです。 そんな大晦日の夜、缶詰と爆弾と爆竹でドミに缶詰になったまま、私の20世紀は終わってしまいました。(了)
by gonsyo
| 2020-07-31 21:30
| 語学赤点!海外視点?
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